命を懸けるヒーローネパール人と利用される働き者ネパール人

今日カナダのヒマラヤエリアの慈善活動団体、 TRAS - Trans Himalayan Aid Society が開催したネパールフィルムフェスティバルでボランティア活動をしてきました。

TRAS は1962年よりネパールを初め、インド、チベット、ブータンで奉仕活動を行っており、地元の人達が運営する活動等に協力、資金集めやボランティアを送ってます。 今回は資金集めの一環とネパールの人達の紹介でこのフィルムフェスティバルが行われました。 どのドキュメンタリーフィルムも観光ではなかなか見られないネパールの素顔が見られます。 バンクーバーの大学の一つ、ランガラカレッジのシアター講義室を4つ借りて上映。 その中の3つフィルムを見る機会があり、エベレスト登山で働くシェルパに焦点を置いたフィルム SHERPAS – THE TRUE HEROES OF MT. EVEREST と、中近東への出稼ぎの話IN SEARCH OF RIYAL SAVING DOLMA の2つを見ました。

西洋を初め外国から多くの登山家達が夢のエベレストに毎年登りに行きます。 私の友達も昨年はエベレストをチベット側から、今年は今ネパール側より世界で4番目に高い山、 Lhotse ロ-ツェに登ってます。 彼(オーストラリア人)もそして昨年のエクスペディションチームの一人でカナダ人初酸素なしで登山し無事戻ってきた人も今ではその体験を通して講演をして皆そんな人達を尊敬します。 もちろんとても大変な事でけして簡単な事ではありません。 ただ、こういう登山家達をサポートして、いつも西洋で記録達成した人達が脚光を浴びる中、影となっているシェルパ達の仕事が如何に大変で大切なのかこのフィルムは思い起こさせてくれます。 多くの人が涙ぐんでいるのが暗いシアターの中で聞こえました。

今回14回目の頂上に達成したシェルパは40代になるベテラン。 今でも彼の奥さんは涙ぐんで彼の仕事を見守ります。 いくらベテランでも  母なる自然にはかないません。 目の前で雪崩に飲まれる友達のシェルパに何もできずまた、自分もあと少しで命を失いそうになった事もあります。 今回彼は苦労しながらも頂上に達成。 彼は教育を受ける事ができなく、家族を養うためにも給料のいいこの危険な仕事を辞めれません。

29歳の若いシェルパは英語が話せるのでリーダー的存在でシェルパ達をまとめてます。 お金を少しでも稼ぎたいと人より多くの荷物を運びます。 下っ端から始めた彼は今回が初めての頂上到着。涙を流して喜んでました。 今回スイスのエクスペディションチームのサポートで、チームの何人かが忘れた寝袋を高山で大変な中、余分な荷物を持っていきます。 これ以外にもつらい仕事に文句も言いたくなるけれどお金をもらって働いてるからと我慢。 また、どちらにしてもベースキャンプに戻ると嫌な事は忘れると言います。

今回のチームに世界の多くの頂上を酸素ボンベなしで登り、今回も酸素なしで挑戦した人がいました。 頂上達成後、hallucination 幻想 を見出し、頭がおかしくなっていきます。 頂上を目指す日は深夜から登り朝到着して戻るので、大きな荷物はなく、シェルパが各登山家に付きます。 彼をサポートしていたシェルパは一生懸命助けようとしますが、自分も死ぬかと思ったそうです。 そして、目の前で人が死ぬのを始めて見て恐ろしくなります。 登山家のエゴでシェルパの命も危うくします。

私の友達の昨年のエベレスト登山チームの一人も同じように、頂上到達後、降りる時に幻想を見出し、亡くなった方も見えました。 山には多くの遺体がまだ一杯あります。 このシェルパ達は彼が友達だったからとキャンプまで運び、お墓を作り埋葬しました。

シェルパの仕事は、常にチームより先に次のキャンプまで行き、地面をならし、テントを張り準備をします。 テントは寝る個人のテントから食事をするダイニングテント等あります。 キッチンの道具や食事、酸素ボンベ等荷物は重く多いので、何回かに分けて運びます。 チームの人達は自分達の荷物だけ持って次のキャンプ地まで行きます。 到着すれば後は休むだけで、テントを張ることもなければ、ダイニングテントでテーブルについて食事を頂きます。 まさに、ナレーターが言うように pamper (パンパー、甘やかされる)されてます。

キャンプ3か4では、シェルパは酸素ボンベの確認を念入りにします。 必要な時にマスクが壊れていたら致命傷です。 頂上に上る日はシェルパ達も酸素ボンベを利用します。山に育ってもエベレストは高すぎます。 自分がしっかりしてなければ人を助ける事はできません。 ベテランシェルパは今回は早くから頭痛に悩まされ、気分が悪いからと引き返せば次から仕事が貰えなくなるのもあり、キャンプ4では酸素ボンベを利用して体力を回復。 万全で最後のプッシュに挑みます。

チームの人達が到着する前には、シェルパとは別に、山(氷河だったかもしれません・・・ )ドクターと呼ばれるチームがルートの確認をします。 やわらかい雪の下には何があるか分かりません。 氷河の裂け目(クレバス)があるかもしれません。 念入りのルートを確認してロープや梯子をかけて行きます。

多くの人が命をかけて西洋の登山家達に夢を叶える助けをしています。 そんな彼らが本当のヒーローなのではないでしょうか?

そして、中近東に出稼ぎに行くフィルムは私のネパール人の友達も出稼ぎに行ったのでこちらも身近に感じました。 ネパールで仕事がないので、インドや中近東に仕事に行くネパール人が多くいます。

多くは悪徳な雇用者の下、3-5ヶ月程給料が貰えない事が多く、文句を言えば刑務所に入れられます。 言葉や文化の不安がありながらも皆お金が稼げると夢を持って出稼ぎに行きます。 土地を売り、お金を借りてまで行く人も多いです。 ネパールのエージェントでは行く前にトレーニングを受けたり、マレーシアの人にこういう質問はしてしていけないとか、ストライキは違法なので文句は言わずに働くよう、オリエンテーションもあります。 雇用側はネパール人は働き者で文句を言わないと彼らを好んで雇います。

SAVING DOLMA 女性の出稼ぎに焦点を置いてます。 女性は家政婦として雇われる場合が多く、多くが24時間こき使われてます。 そしてその中の一人がフィリピンの仕事場の人を殺したから死刑になったというニュースが上がり、彼女の無実のために皆で彼女を助けようと、彼女の話をメインに他の女性の出稼ぎの人達の話を紹介していきます。

山には多くの人が海外に出稼ぎに行き廃墟となった家も多くあります。 仕事があるだけでもマシだと条件が悪くても何年も我慢して働きネパールの家族にお金を送る人達もいます。 そんな人達の家族にとって彼らはヒーローな所もあり、外国にいる息子から電話があったと喜ぶ家族に電話をかけずにはいられないと国際電話代を気にしながらも電話をして頑張る彼らを見ていると心が痛みます。

フィルムの中にお父さんが亡くなって20日以上経つが帰らさせてもらえない人がいました。 帰るなら首だと辞められません。 私の友達も出稼ぎ中奥さんと幼い息子が交通事故に会い息子は失い、奥さんは重症。 彼もすぐには帰る事を許されませんでした。

ネパールに仕事があれば彼らは出稼ぎに行く必要はありません。 子供達への教育、そして自分達で自給自足ができる経済環境、そして自然環境を保護した成長に協力したいと私も慈善活動のプロジェクト、The Wheel of Green Life を始めました。

これらのフィルムを見ると何かしたくなるかと思います。 自分で始めてみて思いますが、けして簡単ではありません。 既存の組織を通して協力すれば簡単にサポート出来ます。 ご自身の興味のある組織や活動を通して世界平和に協力しませんか?

今は日本の大震災救済が先決ですが。

フィルムはネパールの人が作っています。 まさにネパールの人達の声です。 サイトからビデオが購入できるものもあります。 是非見てみてください。

IN SEARCH OF RIYAL

86 minutes, 2009
Directed by: Kesang Tseten
www.shunyatafilms.com
サイトからフィルムの購入可能

In Search of the Riyal is the first documentary of Kesang Tseten’s trilogy on Nepali migrant workers in the Arabian Gulf. Since the 1990s, Nepal has provided a pipeline of cheap labour to the Gulf, emptying villages of its young men, who set out to escape poverty for wages of US $5 to $7 a day in the alien and stultifying conditions of the Qatari desert. Theirs is an admirable mission, a test of luck and resilience. The film shows glimpses of gritty migrant conditions, rarely captured, given the Gulf States’ sensitivity to criticism of how they treat their foreign workers. The stories of disillusionment and, sometimes, empowerment reflect the enormity of the Nepali migrant’s journey.

SAVING DOLMA

62 minutes, 2010
Directed by Kesang Tseten
www.shunyatafilms.com

Saving Dolma, another film in Kesang Tseten’s trilogy on Nepali migrant workers in the Gulf, documents the struggles of female migrant workers. Thousands of Nepalese women work illegally in the Gulf to relieve the poverty at home. The film follows the thread of Dolma, sentenced to death for killing a Filipino co-domestic in Kuwait, and presents the multiple responses to this event – the upheaval and fractures of Dolma’s family, and the reactions of women’s advocacy groups and Nepali society and officialdom. The film provides a rare glimpse into the situation of women migrants in the Gulf States, and exposes the vulnerable conditions of ill-educated and ill-prepared women from a poor country making this enormous journey.

SHERPAS – THE TRUE HEROES OF MT. EVEREST

95 minutes, 2009
Directed by Otto C. Honegger, Frank Senn and Hari Thapa

Sherpas – The True Heroes of Mount Everest showcases the work, hardships and life of the Sherpas at Mount Everest. The film follows the expedition of the Swiss mountain guide Kari Kobler and his European climbers as they climb the highest mountain in the world, a feat un-imaginable without the support and guidance of their hired Nepali Sherpas. Among the Sherpas is Dawa, who has peaked Everest thirteen times. Throughout the film, the Sherpas share their stories, feelings and fears on the climb. They tell us bluntly what it means for them to work for Western climbers and to act as their leaders on the top of the world, sometimes risking their own lives to save a Western client.

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